【まず結論】相撲の金星とは?獲得できる3つの条件
金星とは、大相撲の本場所で、前頭の力士が横綱との取組に勝ったときに認められる勝ち星です。
単に格上の力士を倒したことを意味する一般的な表現ではありません。獲得するには、番付、対戦相手、勝敗の決まり方という条件を満たす必要があります。
1.勝った力士が前頭(平幕)であること
金星を獲得できるのは、幕内力士のうち、三役以上を除いた前頭の力士です。
ここで知っておきたいのが「前頭」と「平幕」の関係です。
- 前頭: 番付に記載される正式な地位の名称。
- 平幕: 横綱・大関・関脇・小結などの上位力士を除いた幕内力士を指す呼び方。
つまり、前頭と平幕は基本的に同じ力士の集団を指しています。
2.対戦相手が横綱であること
金星の対象となる相手は横綱に限られます。
大関や関脇、小結に勝っても金星にはなりません。どれほど実力差がある相手を倒しても、対戦相手が横綱でなければ金星の条件を満たさないのです。
3.本場所の取組で実際に勝つこと
金星は、本場所の通常の取組で成立する記録です。
巡業やイベントなどの対戦で横綱に勝っても金星にはなりません。また、不戦勝や反則勝ちなど、通常の取組とは異なる決着にも例外があります。
日本相撲協会の公式クイズでも、金星を獲得できるのは平幕力士のみと説明されています。
なぜ関脇・小結は金星を獲得できない?
ここは初心者が間違えやすいポイントです。
関脇と小結は「三役」と呼ばれ、前頭より上の地位に位置しています。
そのため、関脇が横綱を倒しても、小結が横綱を倒しても、記録上は通常の白星です。
例えば、次のようになります。
- 前頭が横綱に勝つ:金星
- 小結が横綱に勝つ:通常の白星
- 関脇が横綱に勝つ:通常の白星
- 大関が横綱に勝つ:通常の白星
ここで重要なのは、力士の実力や知名度ではなく、その取組に出場したときの番付によって判定されることです。
なお、前頭時代に獲得した金星は、その後に小結や関脇、大関へ昇進しても過去の実績として残ります。
【判定早見表】金星になる勝利・ならない勝利を比較
金星の仕組みを理解するには、実際の取組を例に比較するのが分かりやすいでしょう。
| 取組・勝敗の状況 | 金星になる? | 理由 |
|---|---|---|
| 前頭が横綱に通常の取組で勝利 | ○ | 金星の基本条件を満たす |
| 小結が横綱に勝利 | × | 三役は対象外 |
| 関脇が横綱に勝利 | × | 三役は対象外 |
| 大関が横綱に勝利 | × | 前頭ではない |
| 前頭が横綱に不戦勝 | × | 実際の取組がない |
| 前頭が横綱の反則負けで勝利 | × | 反則勝ちは対象外 |
| 前頭が大関に勝利 | × | 対戦相手が横綱ではない |
| 前頭が優勝決定戦で横綱に勝利 | × | 本割の金星とは区別される |
金星と不戦勝の違い
不戦勝とは、対戦相手が休場などの理由で取組を行えず、相手の力士が土俵上で勝敗を争わずに白星を得ることです。
例えば、横綱が休場した日に前頭力士が不戦勝になったとしても、その白星は金星として数えられません。
金星は、横綱と実際に土俵で対戦して勝つことが条件だからです。
反則勝ちも金星にはならない
意外に知られていないのが、横綱の反則負けによって前頭が勝った場合も金星にならないという点です。
実際に2003年7月場所では、横綱・朝青龍が旭鷲山との取組で相手の髷をつかみ、反則負けとなりました。
しかし、この勝利は金星として認められていません。
この事例は、金星が単なる「横綱に勝った」という結果だけではなく、決着の形式まで含めた記録であることを示しています。
【金星と銀星の違い】大関を倒しても特別な給金はない?
金星と一緒に検索されることが多い言葉に「銀星(ぎんぼし)」があります。
銀星とは、一般的に平幕の力士が大関を倒したときの勝ち星を指す俗称です。
金星にならって使われる言葉ですが、両者には制度上の大きな違いがあります。
金星と銀星の比較
| 比較項目 | 金星 | 銀星 |
|---|---|---|
| 対戦相手 | 横綱 | 大関 |
| 勝利する力士 | 前頭(平幕) | 主に前頭(平幕) |
| 用語の位置づけ | 協会のプロフィールにも記録される | 一般的な俗称 |
| 力士褒賞金の加算 | あり | なし |
| 1個あたりの加算 | 持ち給金10円 | 制度上の加算なし |
| 継続的な支給増 | あり | なし |
銀星は公式の報奨制度ではない
銀星は、大関を倒した力士の活躍を分かりやすく表現する言葉です。
ただし、日本相撲協会の金星制度と同じような特別な給金加算はありません。
大関に勝つことも十分に価値のある白星ですが、金星のように力士褒賞金の支給標準額が増える仕組みにはなっていないのです。
そのため、金星と銀星は似た言葉でも、経済的な意味は大きく異なります。
【1個で4万円】金星を獲得すると給料はどう変わる?
金星が力士にとって大きな価値を持つ理由の一つが、力士褒賞金への加算です。
金星を1個獲得すると、力士褒賞金の支給標準額、いわゆる持ち給金が10円増加します。
この10円を実際の支給額に換算すると、1場所あたり4万円になります。
10円が4万円になる計算方法
大相撲の力士褒賞金には、持ち給金に4000倍を掛ける支給方式があります。
計算すると次のとおりです。
金星1個を獲得した場合
持ち給金の加算
10円
支給倍率
4000倍
1場所あたりの増額
年間6場所すべてに出場した場合の増額
つまり、金星を1個獲得することで、年間24万円相当の支給増につながります。
この仕組みは、日本相撲協会の力士褒賞金に関する規定にも記載されています。
持ち給金は一度増えると次の場所にも反映される
金星の大きな特徴は、一度加算された持ち給金が、その後の本場所でも支給基準に反映されることです。
例えば、現役中に金星を3個獲得した場合を考えてみましょう。
- 持ち給金の加算:10円×3個=30円
- 1場所あたりの支給増:12万円
- 年間6場所の場合:72万円
このように、金星を複数獲得すれば、その分だけ本場所ごとの力士褒賞金が増えていきます。
さらに、金星を獲得した後に負け越したからといって、その金星による加算分が取り消されるわけではありません。
毎月4万円の給料が上がるという意味ではない
ここは特に注意したいところです。
ニュースなどでは「金星を取ると給料が4万円上がる」と簡潔に説明されることがあります。
しかし、正確には月給そのものが毎月4万円増えるという意味ではありません。
金星によって増えるのは、場所ごとに支給される力士褒賞金の基準額です。
力士の基本給と力士褒賞金は別の仕組みであり、金星による4万円は本場所ごとの増額です。
また、懸賞金とも異なります。
懸賞金は取組ごとにスポンサーが懸けるもので、金星の獲得によって増える持ち給金とは別に扱われます。
金星の本当の価値は、その場限りの賞金ではなく、現役中の本場所ごとに継続して反映される報奨金にあります。
【歴代最多は安芸乃島】金星16個の記録と金星配給の意味
金星の歴代記録を語るうえで欠かせないのが、元関脇の安芸乃島です。
日本相撲協会の公式クイズでも、歴代最多の金星獲得者として紹介されています。
安芸乃島が記録した歴代最多16個
最高位:関脇
金星獲得歴代1位
安芸乃島は、現役時代に複数の横綱から金星を獲得した実績を持っています。
特に注目したいのは、千代の富士、北勝海、旭富士、大乃国、曙、武蔵丸という6人の横綱から金星を挙げていることです。
特定の横綱だけに強かったのではなく、異なる時代の横綱を相手に勝ち星を積み重ねてきました。
歴代2位は高見山と栃乃洋の12個。安芸乃島は2位に4個の差をつけています。
金星を配給するとはどういう意味?
金星を獲得する力士がいる一方、横綱側から見た表現が「金星を配給する」です。
これは、横綱が前頭の力士に敗れ、相手に金星を与えたことを意味します。
例えば、横綱Aが前頭Bに負けた場合、
- 前頭B:金星を獲得
- 横綱A:金星を配給
という関係になります。
金星を配給すること自体は、特別な罰金や処分を意味するものではありません。横綱が平幕に敗れた回数を表す相撲界の表現です。
金星配給の歴代最多は北の湖
歴代最多の金星配給記録
金星を獲得した力士の最多が安芸乃島なら、金星を最も多く配給した横綱として知られるのが北の湖です。
北の湖の金星配給数は53個。
横綱として長く活躍したことに加え、平幕力士との取組で多くの金星を許した記録が残っています。
2026年9月場所までの歴代横綱の金星配給を集計した記録でも、北の湖が1位となっています。
金星は勝った力士だけに注目が集まりがちですが、横綱側の記録から見ると、横綱としての在位期間や対戦回数も関係することが分かります。
【2026年最新記録】現役最多は玉鷲8個、高安7個
2026年の大相撲では、現役力士の金星獲得数にも注目が集まっています。
2026年10月30日時点で確認できる日本相撲協会の令和8年11月場所時点の力士プロフィールでは、現役最多は玉鷲の8個、続いて高安の7個です。
2026年11月場所時点・東前頭15枚目
長年にわたって幕内で活躍し、金星を積み重ねてきた力士。2026年9月場所は十両で10勝5敗を挙げ、11月場所で幕内に復帰しています。
2026年11月場所時点・東前頭3枚目
元大関。2026年9月場所でも横綱・大の里を破り、7個目の金星を獲得しました。
2026年9月場所で高安が大の里から金星
2026年9月16日の秋場所4日目、東前頭2枚目の高安は、横綱・大の里との取組で突き倒しを決めました。
この勝利によって高安は通算7個目の金星を獲得。
36歳6カ月16日での金星獲得は、歴代9位の年長記録としても報じられました。
日刊スポーツの報道によると、高安は勝利後、次のように喜びを語っています。
「強い人に勝つのは、達成感がある」
高安にとって大の里からの金星は初めてでした。年齢を重ねても横綱を倒せる力を示した一番として、2026年秋場所の印象的な取組の一つとなりました。
2026年の現役金星記録を見る際の注意点
金星の記録を確認するときには、集計時点と現在の番付を分けて考える必要があります。
例えば、玉鷲は2026年9月場所では十両にいましたが、これまでに獲得した金星8個は失われていません。
また、高安も過去に大関を務めていますが、前頭時代に獲得した金星7個は現在のプロフィールにも記録されています。
金星は獲得したときの番付によって成立する記録であり、その後の昇進や降格によって消えるものではありません。
そのため、2026年の最新ランキングを見る際は、現在の番付だけでなく、通算の金星獲得数にも注目することが大切です。
【よくある質問】相撲の金星とはに関するFAQ
Q1:相撲の金星とは簡単にいうと何ですか?
A1:前頭(平幕)の力士が、本場所で横綱に勝ったときに記録される特別な白星です。勝利した力士には力士褒賞金の持ち給金が10円加算されます。
Q2:関脇や小結が横綱に勝っても金星になりますか?
A2:なりません。関脇・小結は三役に該当するため、横綱に勝っても通常の白星として扱われます。
Q3:金星を不戦勝で獲得することはできますか?
A3:できません。横綱が休場して前頭が不戦勝になっても、金星にはなりません。反則勝ちも対象外です。
Q4:金星1個で本当に4万円もらえるのですか?
A4:力士褒賞金の支給標準額が10円増加し、4000倍の計算で1場所あたり4万円増えます。年間6場所なら24万円の支給増に相当します。毎月4万円の基本給が増えるという意味ではありません。
Q5:金星の歴代最多記録を持っている力士は誰ですか?
A5:元関脇の安芸乃島です。獲得した金星は16個で、歴代最多記録を保持しています。
Q6:大関に勝ったときの銀星にも給金はつきますか?
A6:つきません。銀星は大関を倒したときの俗称であり、金星のような特別な力士褒賞金の加算制度はありません。
Q7:2026年現在、現役で最も金星が多い力士は誰ですか?
A7:玉鷲の8個です。高安が7個で続いています。日本相撲協会の令和8年11月場所時点のプロフィールに基づく記録です。
まとめ:金星は名誉だけでなく現役中の収入にも関わる特別な白星
相撲の金星は、前頭(平幕)の力士が本場所で横綱を倒したときに認められる特別な勝ち星です。
今回解説した重要事項を振り返ります。
- 金星を獲得できるのは前頭の力士だけ。
- 関脇・小結・大関が横綱に勝っても金星にはならない。
- 不戦勝や反則勝ちも金星の対象外。
- 銀星は大関を倒したときの俗称で、特別な給金加算はない。
- 金星1個につき持ち給金が10円増え、1場所あたり4万円の支給増につながる。
- 歴代最多は安芸乃島の16個。
- 2026年の現役最多は玉鷲の8個、高安の7個。
金星の面白さは、単に横綱を倒したという番狂わせだけではありません。1回の勝利が力士の記録に残り、持ち給金にも反映され、その後の現役生活にも影響を与える点にあります。
次に大相撲を観戦するときは、前頭力士と横綱の取組に注目してみてください。横綱が敗れた瞬間、その一番は歴史に残る金星になるかもしれません。 (出典: 相撲 金星 と は(Yahoo!ニュース))