【結論】2026年の夏は涼しかった?気象庁の観測結果を検証
最初に答えを示すと、2026年の夏は全国平均で見れば涼しくなく、平年を上回る暑さだったというのが気象庁の評価です。

気象庁が2026年9月に公表した「2026年夏(6月〜8月)の天候」によると、全国の夏季平均気温は平年差+1.02℃でした。平年値には1991〜2020年の30年間の平均が使用されています。
この+1.02℃という数字は、全国の平均気温そのものが1.02℃だったという意味ではありません。過去30年間の基準となる平均気温から、どれだけ高かったかを示す偏差です。
さらに、気象庁の長期統計では、2026年の夏は1898年の統計開始以降で5番目に高温でした。つまり、一部の地域で涼しく感じられた日があっても、日本全体では歴史的に暑い夏だったことになります。
ただし、2025年の+2.36℃と比べると、2026年は高温の程度が小さくなっています。この前年との違いが、「今年は比較的涼しい」と感じる理由の一つです。
【地域別比較】北日本・西日本は猛暑、東日本と沖縄・奄美はどうだった?
2026年夏を特徴づけたのは、全国一律の猛暑ではなく、地域によって気温の上昇幅が大きく異なったことです。
気象庁の地域平均気候表では、北日本と西日本が平年より1.2℃高く、いずれも「かなり高い」と評価されました。一方、東日本は+0.8℃で「高い」、沖縄・奄美は0.0℃で「平年並み」でした。
この違いを詳しく見ると、同じ地方区分の中でも気温差が存在します。
北日本:北海道を中心に平年を大きく上回る
北日本の平均気温は平年差+1.2℃でした。北海道では+1.4℃、東北では+0.9℃となっています。
特に7月中旬の北日本は、1955年と並んで統計開始以降1位タイとなる高温を記録しました。偏西風が平年より北側を流れやすく、暖かい空気に覆われる時間が長かったことが背景にあります。
西日本:2026年も厳しい暑さが続いた
西日本も平年差+1.2℃で、かなり高い気温となりました。中国地方と九州北部では、それぞれ+1.4℃を記録しています。
西日本の夏季平均気温は、1946年の統計開始以降で3番目の高さでした。7月中旬・下旬にはそれぞれ同期間の最高記録を更新し、8月下旬にも記録的な高温となりました。
さらに、梅雨明け以降は雨の少ない状態が続き、8月の九州北部地方の降水量は統計開始以降で最も少なくなりました。気温だけでなく、水不足につながる少雨も2026年夏の大きな特徴です。
東日本:全国平均より暑さが抑えられた地域も
東日本の平均気温は平年差+0.8℃でした。北日本・西日本ほど高温ではありませんが、平年を上回っています。
特に関東甲信は+0.5℃でした。一方、北陸は+1.3℃、東海は+0.8℃となり、東日本の中でも差が見られます。
東日本太平洋側では梅雨前線や台風の影響を受けやすく、東寄りの風が吹いた時期もありました。こうした気象条件が、北・西日本とは異なる気温の推移につながりました。
沖縄・奄美:平均気温は平年並み
沖縄・奄美の平均気温は平年差0.0℃で、全国の主要地域の中では唯一、平年並みの評価でした。
ただし、これは暑さがなかったという意味ではありません。降水量は平年比148%と多く、台風や湿った空気の影響を受けやすい夏でした。平均気温が平年並みでも、湿度の高い日や局地的な暑さが発生する可能性はあります。
【データ比較】2026年夏の平均気温と地域別の平年差を一覧で確認
ここでは、気象庁の2026年6〜8月の地域平均気候表と季節平均気温の長期統計を整理します。気温の平年差だけでなく、2025年との比較や酷暑日の状況も確認すると、今年の夏の実態がより明確になります。
2026年夏の地域別気温比較
この表から読み取れるのは、東日本の中でも北陸はかなり高温だった一方、関東甲信は+0.5℃にとどまったという点です。単純に「東日本は涼しかった」とまとめることはできません。
2025年と2026年の全国平均を比較
前年との比較では、気温の違いがさらに明確になります。
2025年
2026年
前年差(平年差の比較)
2025年の+2.36℃に対して、2026年は+1.02℃です。平年からの上昇幅は1.34℃小さくなりました。
しかし、2026年も歴代5番目の高温です。前年より暑さが和らいだからといって、2026年が冷夏だったと判断するのは誤りです。
40℃以上の酷暑日も過去最多を更新
2026年夏には、最高気温40℃以上の「酷暑日」も大きな注目を集めました。
気象庁の異常気象分析検討会によると、2026年夏の酷暑日は延べ36地点で観測され、2010年以降で最多となりました。7月下旬から8月初めには東日本・西日本で厳しい暑さとなり、国内初の5日連続を含む酷暑日が記録されています。
ここで注意したいのは、「延べ36地点」は観測地点数を累計した数字であり、36日間にわたって暑かったという意味ではないことです。
また、全国の夏季平均気温が2025年より低かった一方で、局地的には40℃を超える危険な暑さが発生しました。全国平均と個々の地域の最高気温は、別々に見る必要があります。
【原因を分析】2026年夏の気温が高かった理由は偏西風とチベット高気圧
では、なぜ2026年は地域によってこれほど気温に差が生じたのでしょうか。
気象庁が2026年9月1日に公表した異常気象分析検討会の資料では、偏西風の蛇行、チベット高気圧の張り出し、地球温暖化による気温の底上げなどが重要な要因として挙げられています。
1. 偏西風が平年より北側を流れた
偏西風は、中緯度地域の上空を西から東へ吹く強い風です。日本付近の気温や天候にも大きな影響を与えます。
2026年夏は、この偏西風が日本付近で大きく蛇行し、平年より北側を流れやすい状態になりました。
その結果、北日本や西日本を中心に暖かい空気が入り込みやすくなり、高気圧に覆われる日も増えました。こうした大気の流れが、夏季平均気温の上昇につながっています。
2. チベット高気圧と太平洋高気圧の影響
2026年の西日本の高温を説明するうえで重要なのが、チベット高気圧です。
チベット高気圧は、夏季にアジア大陸上空で発達する上層の高気圧です。2026年は偏西風の北への蛇行によって、この高気圧が西日本付近に張り出しました。
さらに、下層には太平洋高気圧の縁辺を回る暖かい空気が流れ込みました。上空から地上付近まで背の高い高気圧に覆われることで、下降気流が強まりました。
下降する空気は周囲の気圧が高くなるにつれて圧縮され、温度が上がります。これを断熱昇温といいます。
晴天による強い日射と下降気流による昇温が重なったことが、7月下旬から8月初めの厳しい暑さをもたらしました。
3. 地球温暖化が高温をさらに押し上げた
もう一つ見逃せないのが、地球温暖化の影響です。
気象庁によると、日本の夏季平均気温は長期的に上昇しており、1898年から2026年までの統計では100年あたり約1.41℃の割合で上昇しています。
もちろん、毎年同じペースで気温が上昇するわけではありません。偏西風や高気圧の位置、海面水温、台風などによって、年ごとの気温には大きな変動があります。
しかし、地球温暖化によって大気全体の温度が底上げされていることは、夏の高温を考えるうえで重要な背景です。
特に2026年7月中旬から8月上旬の西日本の高温については、気象庁と気象研究所などのイベント・アトリビューション解析で、地球温暖化がなかったと仮定すると、ほぼ発生し得なかったことが示されました。
つまり、2026年の猛暑は単に太陽の日差しが強かったというだけではなく、自然の大気循環と長期的な気候変動が重なって生じた現象だったのです。
【地域差の正体】なぜ東日本や沖縄・奄美では暑さが違ったのか
全国平均の数字だけでは、2026年夏の特徴を十分に理解できません。気温の違いを生んだ背景には、地域ごとに異なる高気圧の勢力や、前線・台風・湿った空気の影響がありました。
東日本では東寄りの風や台風が影響
東日本太平洋側では、梅雨前線や台風の影響を受けやすい時期がありました。
気象庁の分析では、日本の南側では太平洋高気圧の張り出しが弱く、東日本太平洋側は前線や台風、湿った空気の影響を受けやすかったとされています。また、東寄りの風が吹いた時期もありました。
その結果、北日本・西日本と比べると、東日本では高温の程度が抑えられた地域がありました。
ただし、東日本太平洋側の降水量は平年比133%と多く、8月には令和8年8月千葉豪雨も発生しています。気温が比較的抑えられたからといって、天候が穏やかだったわけではありません。
沖縄・奄美では台風と湿った空気の影響
沖縄・奄美では、6月に梅雨前線や台風第6号、8月には台風第13号、第18号、第20号などの影響を受けました。
そのため、夏季の降水量は平年比148%に達しています。気温の平年差は0.0℃でしたが、雨の多い夏だったことも特徴です。
このように、沖縄・奄美で気温が平年並みだった背景には、北日本や西日本とは異なる気圧配置や天候の経過がありました。
2026年夏は気温だけでなく雨の降り方にも地域差
2026年夏は、降水量にも大きな地域差がありました。
- 東日本太平洋側:平年比133%でかなり多い。
- 沖縄・奄美:平年比148%で多い。
- 西日本日本海側:平年比83%で少ない。
- 東日本日本海側:平年比88%で少ない。
西日本では高気圧に覆われて晴れる日が多く、雨の少ない状態が続きました。一方、東日本太平洋側や沖縄・奄美では台風や前線の影響が強くなりました。
同じ夏でも、暑さと雨の両方に大きな違いがあったことが2026年の特徴です。
【誤解を解消】今年は涼しいと感じたのに、なぜ歴代5番目の暑さなのか
2026年の夏について、「昨年より涼しかった」「住んでいる地域では猛暑が少なかった」と感じる人がいても不思議ではありません。全国平均の数値と個人が体感する暑さには、いくつかの違いがあります。
全国平均と住んでいる地域の気温は違う
日本の平均気温は、全国の観測データをもとに算出されます。そのため、特定の都市や県の気温が全国平均と同じ動きをするわけではありません。
例えば、関東甲信の平年差は+0.5℃でしたが、北海道や中国地方、九州北部では+1.4℃でした。
関東甲信に住む人と北海道や九州北部に住む人では、同じ2026年夏でも受けた暑さの印象が違って当然です。
2025年との比較で暑さが和らいだと感じる
2025年は全国平均の平年差が+2.36℃で、1898年以降の最高記録でした。
その翌年にあたる2026年は+1.02℃です。数字上でも大きく下がっているため、前年と比較すれば暑さが弱まったと感じることがあります。
しかし、これは「平年より涼しかった」という意味ではありません。2026年も歴代5番目の高温であり、長期的な気温上昇の傾向は続いています。
平均気温だけでは猛暑の厳しさを判断できない
夏の平均気温は、6〜8月の気温を総合的に評価する指標です。数日間の40℃超えや、夜間の気温、湿度の高い日がどれほど続いたかまでは、全国平均の数字だけでは分かりません。
暑さを判断するときは、次の3つを分けて確認することが大切です。
- 夏季平均気温:その地域が3か月を通じて平年より暑かったか。
- 最高気温:40℃以上など、極端な高温が発生したか。
- 暑さの継続性:猛暑日や熱帯夜などが何日続いたか。
特に屋外で活動する場合は、全国平均ではなく、住んでいる地域の気温予報や暑さ指数などを確認することが現実的な判断につながります。
【プロの結論】2026年夏から読み取れる日本の気候変化
2026年夏のデータから見えてくるのは、単純な「猛暑の年」と「涼しい年」という分類では説明しきれない、日本の夏の複雑な変化です。
全国平均では平年差+1.02℃で歴代5番目の高温。それでも2025年よりは上昇幅が小さく、東日本の一部や沖縄・奄美では比較的穏やかな平均気温となりました。
一方、西日本では歴代3番目の高温となり、40℃以上の酷暑日も延べ36地点で観測されました。暑さが弱まった地域がある一方で、極端な高温に見舞われた地域もあったのです。
今後の夏の気温を判断する際には、次の3つの視点が欠かせません。
1. 全国平均だけで冷夏・猛暑を決めつけない
地域別の平年差を見ることで、自分の住む地域の状況をより正確に把握できます。特に関東甲信と北陸、西日本では2026年も明確な差がありました。
2. 偏西風や高気圧の動きを確認する
夏の気温は、偏西風の蛇行やチベット高気圧、太平洋高気圧の張り出し方によって大きく変化します。これらの気象条件が重なると、特定の地域で極端な高温が発生しやすくなります。
3. 地球温暖化による長期的な変化を見落とさない
2026年が2025年より涼しかったとしても、長期的な気温上昇が止まったわけではありません。単年の比較だけでなく、数十年単位の傾向を見る必要があります。
【今年の夏は涼しい?】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の夏は平年より涼しかったですか?
A1:いいえ。2026年6〜8月の全国平均気温は平年差+1.02℃で、1898年以降5番目の高温でした。全国的には涼しい夏ではありません。
Q2:2026年夏に最も暑かった地域はどこですか?
A2:主要な地域区分では北日本と西日本が平年差+1.2℃で、かなり高い評価でした。細かい地域では北海道、中国地方、九州北部がそれぞれ+1.4℃となっています。
Q3:2025年と比べて2026年は涼しくなりましたか?
A3:全国平均の平年差で比較すると、2025年の+2.36℃から2026年の+1.02℃へ、1.34℃低下しました。ただし、2026年も歴代5番目の高温であり、冷夏ではありません。
Q4:2026年の夏に40℃を超えた地域はありましたか?
A4:ありました。2026年夏は40℃以上の酷暑日が延べ36地点で観測され、2010年以降で最多となりました。7月下旬から8月初めにかけては、東日本・西日本で厳しい暑さとなりました。
Q5:2026年の夏が暑かった主な原因は何ですか?
A5:偏西風が平年より北側を流れたこと、チベット高気圧を含む背の高い高気圧に覆われたこと、地球温暖化による気温の底上げなどが挙げられます。特に西日本では下降気流と強い日射が重なりました。
Q6:2026年の夏はなぜ地域によって涼しさが違ったのですか?
A6:地域ごとに高気圧の勢力や偏西風の位置、台風、梅雨前線、湿った空気の影響が異なったためです。東日本太平洋側や沖縄・奄美では降水量が多く、北日本・西日本とは違う天候になりました。
まとめ:2026年の夏は涼しくないが、地域差が際立った夏だった
2026年の夏は、全国平均で平年差+1.02℃となり、1898年以降5番目の高温を記録しました。気象庁の観測結果から見ても、全国的に涼しい夏だったとはいえません。
ただし、2025年の歴代最高記録と比べると高温の程度は小さく、地域ごとの違いも目立ちました。北日本・西日本ではかなり高温となった一方、東日本では比較的上昇幅が小さく、沖縄・奄美は平年並みでした。
その背景には、偏西風の北偏、チベット高気圧の張り出し、太平洋高気圧の影響、台風や前線の活動、そして地球温暖化があります。
2026年の夏から分かるのは、前年より涼しいことと、平年より涼しいことはまったく別だという点です。夏の暑さを正しく理解するには、全国平均だけでなく、地域別の気温、最高気温、降水量、長期的な気候変化を合わせて見る必要があります。
2026年は「涼しい夏」ではなく、「前年より全国平均の暑さは弱まったものの、地域によっては記録的な猛暑となった夏」だったのです。 (出典: 今年 の 夏 涼しい(Yahoo!ニュース))