ジブリのキャッチコピー歴代一覧2026!糸井重里・鈴木敏夫の名作と誕生秘話を徹底解説
ジブリ映画のキャッチコピーには、作品の世界観や登場人物の心情を、わずか数文字から一文で伝える不思議な力がある。「生きろ。」「生きねば。」「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」など、映画を見ていない人でも一度は耳にしたことがある名コピーも少なくない。
その多くを手がけたのが、コピーライターの糸井重里と、スタジオジブリのプロデューサーとして宣伝を主導してきた鈴木敏夫だ。実は、トトロの有名な「たぶん。」には宮崎駿の意見が反映されており、『もののけ姫』の「生きろ。」も、最初から完成形が決まっていたわけではない。
2026年10月現在、1984年公開の『風の谷のナウシカ』から2023年の『君たちはどう生きるか』まで、歴代のジブリ作品にはどのような宣伝コピーが存在するのか。担当者、初期案と採用案の違い、誕生の背景、作品ごとの表現の特徴まで整理する。
この記事の重要ポイントまとめ
- 歴代の名コピー: 『ナウシカ』から『君たちはどう生きるか』まで、代表的な宣伝コピーを公開年順に紹介。
- 糸井重里と鈴木敏夫: 糸井は『トトロ』『魔女の宅急便』『もののけ姫』など、鈴木は『風立ちぬ』『崖の上のポニョ』などのコピーで知られる。
- トトロの誕生秘話: 初期案の「もう日本にいない」が「まだ日本にいる」に変更され、「たぶん。」が残された。
- もののけ姫の制作秘話: 複数回の提案と修正を経て、最終的に「生きろ。」へと決まった。
- 2026年最新情報: 『君たちはどう生きるか』以降の新作短編『魔女の谷の夜』にも注目。歴代長編のコピーとは区別して考えたい。
【歴代一覧】風の谷のナウシカから君たちはどう生きるかまでの名コピー
ジブリ映画のキャッチコピーを振り返ると、1980年代から2020年代まで、時代ごとに表現の傾向が変化していることがわかる。
初期には映画の設定や世界観を端的に説明するコピーが目立つ一方、1990年代以降は登場人物の感情や作品が問いかけるテーマを短い言葉に凝縮する傾向が強くなった。
以下は、代表的な劇場宣伝コピーを中心に整理した歴代一覧だ。
| 公開年 | 作品名 | 代表的なキャッチコピー | 主な担当者・補足 |
|---|---|---|---|
| 1984年 | 風の谷のナウシカ | 少女の愛が奇跡を呼んだ。 | 徳山雅也 |
| 1986年 | 天空の城ラピュタ | ある日、少女が空から降ってきた… | 鈴木敏夫とする資料などがある |
| 1988年 | となりのトトロ | このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。 | 糸井重里 |
| 1988年 | 火垂るの墓 | 4歳と14歳で、生きようと思った。 | 糸井重里 |
| 1989年 | 魔女の宅急便 | おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。 | 糸井重里 |
| 1991年 | おもひでぽろぽろ | 私はワタシと旅にでる。 | 糸井重里 |
| 1992年 | 紅の豚 | カッコイイとは、こういうことさ。 | 糸井重里 |
| 1993年 | 海がきこえる | 高知・夏・17歳 ぼくと里伽子のプロローグ。 | 鈴木敏夫 |
| 1994年 | 平成狸合戦ぽんぽこ | タヌキだってがんばってるんだよォ | 糸井重里 |
| 1995年 | 耳をすませば | 好きなひとが、できました。 | 糸井重里 |
| 1997年 | もののけ姫 | 生きろ。 | 糸井重里 |
| 1999年 | ホーホケキョ となりの山田くん | 家内安全は、世界の願い。 | 糸井重里 |
| 2001年 | 千と千尋の神隠し | トンネルのむこうは、不思議の町でした。 | 糸井重里 |
| 2002年 | 猫の恩返し | 猫になっても、いいんじゃないッ? | 糸井重里 |
| 2004年 | ハウルの動く城 | ふたりが暮らした。 | 糸井重里 |
| 2006年 | ゲド戦記 | 見えぬものこそ。 | 糸井重里 |
| 2008年 | 崖の上のポニョ | 生まれてきてよかった。 | 鈴木敏夫 |
| 2010年 | 借りぐらしのアリエッティ | 人間に見られてはいけない。 | 鈴木敏夫 |
| 2011年 | コクリコ坂から | 上を向いて歩こう。 | 鈴木敏夫 |
| 2013年 | 風立ちぬ | 生きねば。 | 鈴木敏夫 |
| 2013年 | かぐや姫の物語 | 姫の犯した罪と罰。 | 鈴木敏夫 |
| 2014年 | 思い出のマーニー | あなたのことが大すき。 | 鈴木敏夫 |
| 2016年 | レッドタートル ある島の物語 | どこから来たのか どこへ行くのか いのちは? | 谷川俊太郎 |
| 2021年 | アーヤと魔女 | 私のどこが、ダメですか? | 劇場公開用コピー |
| 2023年 | 君たちはどう生きるか | 友だちを見つけます。 | 第2弾ポスターのコピー |
※公開年は日本での公開・放映年を基準とする。『ナウシカ』は1984年公開で、スタジオジブリの設立は1985年。関連作品として一覧に含めている。担当者の表記は宣伝資料や各種作品資料で異なる場合があり、すべての広告文が同一人物によるものとは限らない。
作品によって異なる複数の宣伝コピー
上の表に掲載したものは、各作品を代表するコピーだが、実際にはテレビCM、新聞広告、ポスターなどで別の宣伝文句が使用された作品もある。
特に注目したいのが次の5作品だ。
『平成狸合戦ぽんぽこ』
糸井重里の「タヌキだってがんばってるんだよォ」に加えて、高畑勲監督による「おもしろうて やがて悲しきタヌキかな」という宣伝コピーも知られている。
『千と千尋の神隠し』
代表的なコピーは「トンネルのむこうは、不思議の町でした。」。一方、新聞広告では「『生きる力』を呼び醒ませ!」という別の宣伝文句も使用された。
『ハウルの動く城』
「ふたりが暮らした。」以外にも、「この城が動く。」「生きる楽しさ。」「愛する歓び。」「ヒロインは、90歳の少女。」「恋人は、弱虫の魔法使い。」など、複数の表現が展開された。
『思い出のマーニー』
「あなたのことが大すき。」のほか、「この世には目に見えない魔法の輪がある。」という初期コピーや、三浦しをんによる「あなたのことを待っている」という趣旨の別の宣伝コピーもある。
『アーヤと魔女』
劇場公開用の「私のどこが、ダメですか?」と、テレビ放映用の「わたしはダレの言いなりにもならない。」は、使用場面が異なる。
このように、ジブリの宣伝コピーは作品ごとに一つだけ存在するわけではない。ポスターのメインコピーと広告展開用のサブコピーを分けて見ることが大切だ。
【担当者を徹底整理】糸井重里と鈴木敏夫は何が違う?
ジブリの宣伝コピーを語るうえで欠かせないのが、コピーライターの糸井重里とプロデューサーの鈴木敏夫だ。
この2人は同じように作品の魅力を短い言葉にしてきたが、仕事の立場や表現の特徴には違いがある。
糸井重里が手がけたジブリの名コピー
糸井重里がジブリ作品の広告に関わるようになった背景には、1988年の『となりのトトロ』と『火垂るの墓』の同時上映がある。
糸井本人が2024年に「ほぼ日」で公開された対談で説明したところによると、当時は徳間書店が『となりのトトロ』、新潮社が『火垂るの墓』を担当していた。
2つの出版社が関わる同時上映だったため、宣伝をどのように進めるかという問題があった。
そこで、新潮文庫の広告を担当していた糸井に、2作品それぞれのコピーと共通コピーの制作が依頼された。
誕生したのが次の3つだ。
- 『となりのトトロ』:「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」
- 『火垂るの墓』:「4歳と14歳で、生きようと思った。」
- 2作品共通:「忘れものを、届けにきました。」
この仕事をきっかけに、糸井はその後もジブリ作品のコピーを担当することになる。
代表作を並べると、糸井の表現には共通した特徴がある。
- 日常生活で使う自然な言葉を選ぶ。
- 説明しすぎず、観客が想像する余白を残す。
- 登場人物の気持ちを直接的すぎない表現に置き換える。
- 作品のテーマを短い文章に凝縮する。
『魔女の宅急便』のコピーが、その特徴をよく表している。
鈴木敏夫が手がけたジブリの宣伝コピー
鈴木敏夫は、ジブリ作品のプロデューサーとして映画の企画や宣伝を統括してきた人物だ。
糸井のような外部コピーライターとは異なり、作品の制作現場や監督の考えを理解したうえで、宣伝の言葉を考える立場にある。
代表的なコピーとして知られるのは次の作品だ。
- 『崖の上のポニョ』:「生まれてきてよかった。」
- 『借りぐらしのアリエッティ』:「人間に見られてはいけない。」
- 『コクリコ坂から』:「上を向いて歩こう。」
- 『風立ちぬ』:「生きねば。」
- 『かぐや姫の物語』:「姫の犯した罪と罰。」
- 『思い出のマーニー』:「あなたのことが大すき。」
特に『コクリコ坂から』の「上を向いて歩こう」には、鈴木自身の考えが反映されている。
2011年のインタビューで鈴木は、作品の時代背景や当時の社会状況に触れながら、坂本九の楽曲を思い浮かべたことを説明している。
単に有名な曲のタイトルを使ったのではなく、作品の時代性と、観客に届けたい前向きな感情を重ね合わせたものだった。
ジブリのコピーを支えた関係者
| 人物 | 主な関係作品 | 宣伝における役割 |
|---|---|---|
| 糸井重里 | トトロ、魔女の宅急便、もののけ姫、千と千尋など | コピーライターとして作品の魅力を言語化 |
| 鈴木敏夫 | ポニョ、風立ちぬ、コクリコ坂からなど | プロデューサーとして宣伝企画とコピー制作を主導 |
| 徳山雅也 | ナウシカなど | 映画宣伝に携わったコピー担当者 |
| 高畑勲 | 平成狸合戦ぽんぽこなど | 監督として独自の宣伝表現にも関与 |
| 三浦しをん | 思い出のマーニー | 作品に関連する宣伝コピーを担当 |
| 谷川俊太郎 | レッドタートル | 詩人として生命を問う宣伝文句を担当 |
なお、担当者一覧には資料による表記の違いがある。特に『天空の城ラピュタ』など初期作品のコピーについては、鈴木敏夫と徳山雅也のどちらを担当者として記載するかが資料によって異なるため、作者を一律に断定することはできない。
【トトロの制作秘話】「たぶん。」はなぜ残されたのか?初期案と採用案を比較
ジブリのキャッチコピー制作秘話のなかでも、特に興味深いのが『となりのトトロ』だ。
誰もが知る「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」というコピーには、宮崎駿と糸井重里の考え方の違いが表れている。
初期案は「もう日本にいないのです。たぶん。」
実は、糸井が最初に提出したコピーは、現在知られているものとは少し違っていた。
初期案は、
「このへんないきものは、もう日本にいないのです。たぶん。」
というものだった。
「もう日本にいない」という表現には、現実の世界ではトトロのような存在に出会えないかもしれないという、糸井の感覚が表れている。
しかし、宮崎駿はこの方向性に異なる考えを持っていた。
糸井が1988年5月号の『アニメージュ』で語った内容によれば、宮崎は、現実にはいないかもしれないとしても、映画を作る以上は「いると思って作りたい」という趣旨の考えを伝えていた。
その意見を受け、コピーは修正されることになる。
初期案と採用案の違い
| 比較項目 | 初期案 | 採用案 |
|---|---|---|
| 存在を表す言葉 | もう日本にいない | まだ日本にいる |
| 作品への印象 | 過去の存在を懐かしむ | 今もどこかに存在する |
| 宮崎駿の考え | トトロはいると思って作りたい | その考えを反映 |
| 最後の表現 | たぶん。 | たぶん。 |
| 表現の効果 | 不在を前提とした想像 | 存在への期待と現実的な距離感 |
重要なのは、最後の「たぶん。」が残されたことだ。
宮崎はトトロの存在を信じるような世界観を望んだ。一方、糸井は現実との距離を完全には埋めず、断言を避ける言葉を残した。
結果として、映画の幻想的な世界と、観客が生きる現実の世界が一つの文章のなかで共存することになった。
「たぶん。」が生み出した独特のリアリティ
このコピーの魅力は、トトロの存在を完全に肯定するわけでも、否定するわけでもないところにある。
もし「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。」だけで終わっていたら、少し説明的で断定的な印象になったかもしれない。
逆に「もう日本にいない」とすれば、映画のなかで描かれる自然や不思議な生き物との出会いを、過去の思い出として遠ざけてしまう。
そこで「たぶん。」が加わる。
この一言によって、観客はトトロの存在を自分の想像に委ねられる。
映画を見終わった後、近所の森や大きな木の下を歩いたときに、もしかしたらトトロがいるかもしれないと思える。その余韻こそが、このコピーの強さだ。
【もののけ姫の名コピー】「生きろ。」が完成するまでの知られざる経緯
『もののけ姫』の「生きろ。」は、ジブリの宣伝コピーのなかでも特に強い印象を残す言葉だ。
わずか3文字でありながら、人間と自然の対立、生命の尊厳、憎しみと共存といった複雑なテーマを背負っている。
しかし、このコピーも最初から決まっていたわけではない。
最初に提出されたのは恋愛色の強いコピーだった
ITmediaが2016年の「ジブリの大博覧会」で公開された資料を取材した記事によると、鈴木敏夫から糸井重里への最初の依頼は1996年3月21日だった。
当時はまだ作品が完成しておらず、鈴木はストーリーの概要を伝えながら、コピーの制作を依頼していた。
糸井が6月4日に提出した最初の4案は次のとおり。
- おそろしいか。愛しいか。
- おまえには、オレがいる。
- 惚れたぞ。
- ひたむきとけなげのスペクタクル。
いずれも、アシタカとサンの関係性を想起させる恋愛色の強い表現だった。
しかし、鈴木と宮崎駿はこれらの案に納得しなかった。
鈴木は、作品の持つ混沌とした世界観や、簡単には答えの出ないテーマを表現する必要性を感じていた。
最終案にたどり着くまで何度も修正
その後も糸井はコピーを提案し、鈴木とのやり取りを繰り返した。
6月18日の2回目の提案では、「だいじなものは、ありますか。」「昔々は、今の今。」などの案が検討された。
さらに3回目には12案が提出されたという。
そして、4回目のやり取りが行われた7月1日、ついに「生きろ。」が提出された。
鈴木はこの言葉に強い可能性を感じ、宮崎にも提示した。
宮崎からも肯定的な反応があり、最終的な調整を経てコピーが決定した。
この一連の経緯は、当時の手紙や資料を紹介したITmediaの2016年7月7日付の記事に詳しく記録されている。
なぜ「生きろ。」はこれほど強いのか
『もののけ姫』の物語では、人間と森の神々が対立し、どちらか一方だけを正義として描くことが難しい状況が続く。
アシタカは、人間側にも森側にも単純には立てない。
サンもまた、人間を憎みながら生きている。
こうした複雑な物語を、短い説明文だけで伝えることは難しい。
そこで「生きろ。」という言葉が機能する。
このコピーは、誰が正しいのか、どちらが勝つべきなのかを説明していない。観客に対して、まず生命そのものを見つめるように促している。
興味深いのは、同じ「生きる」というテーマが、後年の『風立ちぬ』では「生きねば。」という別の表現になったことだ。
「生きろ。」が誰かに向けた強い命令形であるのに対し、「生きねば。」には、自分自身に言い聞かせるような決意が感じられる。
どちらも生きることをテーマにしているが、作品の世界観によって言葉の方向性が大きく異なっている。
【2026年最新】君たちはどう生きるかとジブリの宣伝戦略はどう変わった?
2026年10月時点で、長編劇場映画の最新作は2023年公開の『君たちはどう生きるか』だ。
ただし、2026年にはジブリパーク向けの新作短編アニメーション『魔女の谷の夜』が公開されている。
歴代コピーの変遷を考えるうえでは、この2作品の宣伝方法にも注目したい。
『君たちはどう生きるか』はコピーを前面に出さなかった
2023年7月14日に公開された『君たちはどう生きるか』は、通常の映画宣伝とは大きく異なる方法が採用された。
スタジオジブリが2023年8月の公式「ジブリだより」で説明した内容によれば、公開前の宣伝や情報発信はほぼ行われなかった。
公開前に発表されたビジュアルはポスター1点のみ。
場面写真も予告編も公開されず、ストーリーや声の出演者も伏せられていた。
観客が事前情報に左右されず、映画そのものと向き合える環境をつくるという異例の宣伝方針だった。
その後、公開から約4か月が経過した2023年11月15日、第2弾ポスターが発表された。
そこに掲載されたのが、
「友だちを見つけます。」
という言葉だ。
宮崎駿監督が描いた主人公・眞人のイメージボードを使ったポスターで、11月17日から全国の上映劇場に掲出された。
「あばよ、友だち」はキャッチコピーなのか?
『君たちはどう生きるか』では「友だちを見つけます。」のほかに、「あばよ、友だち」という言葉も知られている。
ただし、こちらは青サギの作中のセリフとして登場する表現であり、第2弾ポスターの公式コピーとは区別する必要がある。
2024年7月に発売された関連LINEスタンプにも、作中のセリフとして「あばよ友だち」が採用された。
このように、映画のセリフ、ポスターの宣伝コピー、商品に使われた言葉は、それぞれ異なる位置づけを持つ。
ネット上でこれらが一括してキャッチコピーとして紹介されることもあるが、作品の広告表現を正確に理解するには、使用媒体まで確認することが重要だ。
2026年の最新作『魔女の谷の夜』にも注目
2026年7月8日には、スタジオジブリがジブリパークのために制作したオリジナル短編アニメーション『魔女の谷の夜』の上映が始まった。
監督は宮崎吾朗と山下明彦。
舞台はジブリパークの魔女の谷で、ジブリパークで働く新人が初めての夜勤を経験する物語だ。
上映場所はジブリの大倉庫内にある映像展示室オリヲン座となっている。
スタジオジブリの2026年6月の公式発表と8月の「ジブリだより」でも、この新作の制作・上映について紹介されている。
ただし、従来の劇場長編作品のような独立した代表キャッチコピーは、これらの公式発表では確認できない。
そのため、2026年の最新動向を整理すると、次のようになる。
- 最新の長編劇場作品:『君たちはどう生きるか』(2023年)
- 2026年の新作短編:『魔女の谷の夜』
- 『君たちはどう生きるか』の第2弾ポスターコピー:「友だちを見つけます。」
- 2026年の新作短編について:従来の長編作品と同じ形式の代表コピーは公式発表で確認されていない。
【プロの分析】なぜジブリのキャッチコピーは何十年も記憶に残るのか
ジブリのキャッチコピーが長く愛される理由は、単に言葉選びが巧みだからではない。
その背景には、映画の内容と宣伝表現を一致させるための、独特の制作姿勢がある。
1. 作品の説明ではなく、観客の感情を動かす
一般的な映画広告では、ジャンル、ストーリー、出演者などを前面に出すことが多い。
しかし、ジブリの名コピーは作品の説明を最小限に抑え、観客の感情を刺激する。
例えば「生きろ。」という言葉だけでは、どのような物語なのかはわからない。
それでも、観客はその言葉に何か強い意味があると感じる。
この説明しすぎない表現が、作品を見る前の期待を高める。
2. コピーと作品の世界観が矛盾していない
『となりのトトロ』の「たぶん。」は、映画のなかに描かれる不思議な存在を、現実から完全に切り離さない。
『魔女の宅急便』の「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」は、主人公キキの成長や、慣れない土地で暮らす若者の心情と重なる。
『紅の豚』の「カッコイイとは、こういうことさ。」は、主人公ポルコの生き方を象徴している。
どの言葉も、映画の内容を知らずに作られたものではない。
作品の中心にある価値観を理解し、それを短い言葉に置き換える作業が行われている。
3. コピーの作者よりも、制作チームとの対話が重要
「糸井重里が作った」「鈴木敏夫が考えた」という作者の名前は注目されやすい。
しかし、『もののけ姫』の制作過程が示すように、優れたコピーは一人の発想だけで完成するものではない。
コピーライターが提案し、プロデューサーが作品との整合性を確認し、監督が作品の意図と照らし合わせる。
こうした対話の積み重ねが、最終的な言葉を生み出す。
『トトロ』の「たぶん。」も、宮崎の考えと糸井の表現感覚が交わった結果だ。
ここにジブリの宣伝コピーの本質がある。
4. 名コピーを見極める3つの判断基準
ジブリのコピーを比較するときは、次の3つの視点を持つと、単なる人気投票とは違う楽しみ方ができる。
作品の核心を表しているか
映画の中心的なテーマや主人公の感情を、一言で想像できるか。
余白が残されているか
すべてを説明せず、観客が自分の経験や感情を重ねられるか。
時間が経っても意味が変わらないか
公開当時だけでなく、何年後に読んでも新しい発見があるか。
この3点で見ると、「生きろ。」「たぶん。」「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」は、それぞれ異なる方法で観客の心に届いている。
【ジブリのキャッチコピー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ジブリで一番有名なキャッチコピーは何ですか?
「生きろ。」や「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」が代表的な名コピーとして知られている。前者は『もののけ姫』、後者は『となりのトトロ』の宣伝コピーだ。
Q2:ジブリのキャッチコピーは誰が作っていますか?
主な担当者として糸井重里と鈴木敏夫が知られている。そのほか、徳山雅也、谷川俊太郎、三浦しをんなど、作品によって異なる人物が関わっている。
Q3:トトロのキャッチコピーの初期案は何ですか?
初期案は「このへんないきものは、もう日本にいないのです。たぶん。」だった。宮崎駿の「いると思って作りたい」という考えを反映して「まだ日本にいるのです」に変更された。
Q4:『魔女の宅急便』のキャッチコピーは誰が考えましたか?
糸井重里が担当した。「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」という言葉は、地方から都会に出て働く女性たちを励ます映画にしたいという宮崎駿の考えを聞いて生まれた。
Q5:『もののけ姫』の「生きろ。」は誰が考えましたか?
コピーライターの糸井重里が制作し、鈴木敏夫や宮崎駿とのやり取りを経て決定した。1996年から続いた制作過程の記録が残されている。
Q6:『千と千尋の神隠し』のキャッチコピーは何ですか?
代表的なコピーは「トンネルのむこうは、不思議の町でした。」。糸井重里が担当した。また、新聞広告には「『生きる力』を呼び醒ませ!」という別の宣伝コピーも使われた。
Q7:2026年時点で最新のジブリ映画のキャッチコピーは何ですか?
長編劇場映画では2023年公開の『君たちはどう生きるか』の第2弾ポスターに掲載された「友だちを見つけます。」が代表的な最新コピーだ。2026年には短編『魔女の谷の夜』も公開されているが、公式発表で独立した代表キャッチコピーは確認されていない。
まとめ:ジブリの名コピーは映画の外でも物語を生き続ける
ジブリのキャッチコピーを歴代作品とともに振り返ると、そこには単なる宣伝文句を超えた、作品への深い理解と作り手の思いが込められている。
糸井重里の「たぶん。」には、宮崎駿の作品世界を信じる気持ちとの対話があった。『もののけ姫』の「生きろ。」には、鈴木敏夫と糸井重里が何度も意見を交わした時間があった。
また、『魔女の宅急便』の「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」や『風立ちぬ』の「生きねば。」のように、作品の登場人物だけでなく、現実を生きる観客にも届く言葉が生まれている。
2026年には『魔女の谷の夜』という新たな短編も登場し、スタジオジブリの表現活動は続いている。
これから新しい作品が生まれたとき、どのような言葉がその世界を象徴するのか。それを考えることも、ジブリ作品を楽しむもう一つの方法だ。
ジブリの名コピーは、映画を見る前の期待を生み、見終わった後には作品の記憶を呼び起こす。だからこそ、何十年経っても色あせず、私たちの心に残り続けるのだ。
主な事実確認資料
- スタジオジブリ公式「スタジオジブリの年表」および2026年最新情報。
- ほぼ日「糸井重里のコピー」2024年10月20日公開インタビュー。糸井本人によるトトロ・火垂るの墓・魔女の宅急便の制作背景。
- ITmedia NEWS「ジブリ『もののけ姫』のコピーが『生きろ。』になるまで」2016年7月7日。
- 文春オンライン「『懐かしさから作った作品ではない』“へんないきもの”トトロにあれほどリアリティがある理由」2022年8月19日。
- スタジオジブリ公式「君たちはどう生きるか」第2弾ポスター発表および2023年8月のジブリだより。 (出典: ジブリ キャッチ コピー(Yahoo!ニュース))